認定・専門を取得してチーム医療で活躍する薬剤師
関信地区国立病院薬剤師会 各施設の詳細は、こちらのページからご覧下さい。
感染制御専門薬剤師 | |
昭和大学 平成24年卒業 昭和大学大学院 博士課程 平成30年修了 |
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渡部 智貴 | |
千葉医療センター | |
感染症治療薬(抗菌薬など)は唯一“環境に影響を与える薬剤”と言われています。不適切な抗菌薬の使用により生じた耐性菌が他の患者さんに伝播・アウトブレイクすることは、避けていかなければなりません。耐性菌の蔓延を防ぎ、より多くの患者さんを救っていくために、感染制御専門薬剤師は感染症に関わる正しい知識を浸透していけるよう支援を行っています。 感染制御専門薬剤師としての主な仕事内容は、感染制御チーム(ICT: Infection Control Team)や抗菌薬適正使用支援チーム(AST: Antimicrobial Stewardship Team)に所属して、病院全体(+地域)の感染管理を担い、実践的に遂行していくこと(感染症診療への介入、コンサルテーション、サーベイランス、感染対策の整備、医療従事者への教育など)です。 感染症治療に携わっていく中で、患者さんが元気になっていく姿や元気になった患者さんの笑顔を見ることができることが、最大の喜びであり、とてもやりがいを感じることのできる瞬間であると思います。 また、感染症は子どもから高齢者まで幅広い人たち、がんや心疾患などの様々な基礎疾患を有する患者さんに発症しうる疾患であり、多くの診療科の医師や病棟薬剤師、臨床検査技師等とも積極的に連携をとっていかなければいけないことも、感染症治療に携わっていく中で楽しさを感じる場面です。 抗菌薬の使い方は非常に複雑で難しい面がたくさんあります。だからこそ必要とされる分野であり、少しでも多くの興味を持ってくれる学生が増え、感染症治療の重要性を知ってもらえたら嬉しく思います。 |
精神科薬物療法認定薬剤師 | |
城西大学 平成17年卒業 北里大学大学院 修士課程 平成19年修了 |
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市川 暁 | |
小諸高原病院 | |
私が勤務する小諸高原病院は、長野県東部にある340床の精神科と重症心身障害者の患者さんへ医療を提供している病院です。当院の薬剤科は薬剤師3名と助手1名の小規模施設です。主な業務は調剤業務と薬剤管理指導になりますが、採用薬品の選定から医薬品の適正使用の促進など、業務内容は多岐にわたります。 精神科における薬剤管理指導では、治療の効果や副作用の判定をする客観的な数値がないものが多いことが特徴です。例えば、患者さんが日中の眠気を訴えたとしても「夜に眠れているのか」「日中にやることがなく、昼夜逆転した生活になっていないか」「夜間の頻尿はないか」など薬以外の原因や、薬が原因であったとしても、「眠気の出現時期と薬歴から考えて原因薬剤はあるか」「不眠時頓服薬を使用する時間が遅すぎないか」「薬物相互作用で眠気が強い薬が増強していないか」など仮説を立てて、患者さんや患者さんを観察する看護師やリハビリスタッフから聞き取った情報と薬歴を組み合わせての推測が必要になります。時には他職種に観察項目の追加をお願いする場合もあります。原因が異なれば対処方法も異なり、処方変更を伴わない解決策を提案することがあるのが、精神科の薬剤管理指導における醍醐味だと思います。 当院は医師も20名以下と全員顔見知りの職場で、コメディカルも同様です。そのため、医局や他部署にもいつでも気軽に相談に行くことが出来る風通しの良い職場です。炭酸リチウムを適正使用するために定期採血を強化したいと思えば、検査科に外来からの血中濃度測定依頼が月50件増えても対応可能かとすぐに相談に行き、医局会で医師全体に検査オーダー依頼をすることも出来ます。 私は精神科薬物療法認定を取得しましたが、これをベースに緩和医療に携わることを次の目標にしています。国立病院機構は転勤がありますが、広い領域を学びたい場合には就職先の候補にして頂ければと思います。 |
妊婦・授乳婦専門薬剤師 | |
北里大学 平成12年卒業 | ![]() |
石井 真理子 | |
国立成育医療研究センター | |
当院は「成育医療」つまり妊娠へ至る生殖医療、胎児医療、産科、新生児、小児、思春期を経て、成人期に至るリプロダクションによってつながれたライフサイクルに生じる疾患に対する医療を担っています。 私は「妊婦・授乳婦専門薬剤師」と「小児薬物療法認定薬剤師」の資格をいかしながら、日々薬剤業務にあたっています。また、妊婦・授乳婦専門薬剤師領域においては、認定元である日本病院薬剤師会でこの領域の普及や発展に務めています。 妊娠期や授乳期、小児期の薬物療法に関する情報は、添付文書等から容易に入手できず、かつ情報量が少ない中で、EBMに基づく医療の提供のために薬学的知識を生かし、チーム医療の一員として薬剤師が薬物療法に積極的に関わっています。このような目の前の患者のために最善をつくすことだけにとどまらず、成育医療の調査・研究に関わり、そして情報を集積し社会へ発信することも責務の1つです。このことは未来の医療につながっており、薬剤師が果たす役割とその期待が大きい分、やりがいも大きいです。 妊娠期や授乳期の薬物療法に関して、一般の方だけでなく医療従事者においても誤解が多い傾向にあります。母親の健康はお腹の中の赤ちゃん、そして生まれた子どもの健康に直結します。次世代への有害作用に考慮しながら必要な薬物療法を提案し、新しい命が誕生する喜ばしい妊娠や子育ての中で、間違った情報によって生じた過剰な不安を、正確な情報とこれまで培ったカウンセリング技術で、少しでも取り除けるよう日々努力していきたいです。 また妊婦・授乳婦薬物療法認定・専門薬剤師を全国的に増やし、子どもたちや家族の笑顔のために成育医療を担う仲間を増やしていきたいです。 薬剤師を目指す皆様、学生時代に薬剤師の基礎を十分に勉強し、晴れて薬剤師となって、現場で様々な専門領域で活躍する薬剤師を目指して一緒に頑張っていきましょう。 |
HIV感染症薬物療法認定薬剤師 | |
東京薬科大学 平成19年卒業 東京薬科大学大学院 平成21年修了 |
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押賀 充則 | |
国立国際医療研究センター病院 | |
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外来がん治療認定薬剤師 | |
高崎健康福祉大学 平成25年卒業 | ![]() |
栗原 りか | |
渋川医療センター | |
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緩和薬物療法認定薬剤師 | |
城西大学 平成20年卒業 城西大学大学院 平成22年修了 |
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阿部 健太郎 | |
国立がん研究センター中央病院 | |
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小児薬物療法認定薬剤師 | |
帝京平成大学 平成24年卒業 | ![]() |
油布 朋子 | |
埼玉病院 | |
小児医療はこどもの未来、そして国の未来を支える夢のある医療です。 私は地域周産期母子医療センターを備えた地域医療の中核を担う総合病院で、調剤や病棟での活動に携わり、小児薬物療法認定薬剤師として何ができるかを日々考え工夫しながら業務に取り組んでいます。 小児薬物療法はエビデンスが少なく、適応外使用も珍しくありません。その中で、効果的かつ安全に使用できる薬剤の投与量を調べ、小児に使用した場合の副作用にどのような事が起こりうるかを情報提供しながら医師とともにモニタリングしていきます。 その他には、患児の服薬状況にあわせた剤形変更、点滴ルートが1つしかない中でどのような薬物を投与するかなど、薬学的な知識を生かした回答が求められます。さらに、保護者、患児に対する服薬指導も重要な役割の一つです。保護者は、こどもの薬となると特に不安を抱いており、インターネットで間違った知識を持っていることも少なくないため、適切に情報を修正していく必要があります。患児に対しては年齢に合わせた服薬指導を行うことで、患児自身が積極的に薬物療法に取り組んでいけるようサポートします。 小児領域と聞くと、薬物療法の情報が少なく、用量が細かいなど、何となく難しい領域というイメージをもつかもしれません。調剤では粉砕調剤が多かったり、薬剤管理指導業務では、本人だけでなくキーパーソンとなる人に何度も指導する必要があったりと大変なことも多いです。しかし、患児が退院後通院しながら学校生活を送れているという報告を受けると、この上ない喜びを感じます。未来ある人生の中、一生病気や薬と付き合っていかなくてはいけない患者さんも小児領域にはいます。そのこどもたちに最良の医療を提供することを考えた時に、薬剤師が関わることができる部分は大きいと感じます。 ぜひ一緒にこどもの未来のために働きましょう。
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NST専門療法士 | |
崇城大学 平成24年卒業 | ![]() |
久松 大祐 | |
国立がん研究センター東病院 | |
主な業務は病棟担当薬剤師としての病棟業務実施加算、薬剤管理指導に関わる業務や抗がん剤調製室、ope室に関わる業務を担当しております。 当院のNSTは医師、歯科医師、看護師、管理栄養士、言語聴覚士、薬剤師で構成され、週2回NSTラウンドを実施しています。また、当院薬剤部ではNST担当者は5名おり、一人当たり月に2、3回程度NST回診を担当しております。ラウンド時に栄養状態に問題がある患者様の食事摂取状況や静脈栄養剤の処方内容について適切な栄養管理が行えているかを確認します。その後、それぞれの専門知識を活用し、NSTとして食事メニューの変更や処方内容の変更の提案を実施し、患者様の栄養状態改善に努めます。限られた時間とラウンド回数ですが、NSTの介入により患者様の栄養状態が改善したとの話を聞く時が安堵と共にやりがいを感じますし、改めてチーム医療の重要性を再認識させられます。 また、輸液に関しては苦手意識を持たれる方が多いので、静脈栄養に関する点は特に薬剤師が率先して水分量、エネルギー量、糖質、タンパク質、脂質のバランスを考慮した処方設計支援、処方変更提案をできる場です。また、輸液だけではなく、経腸栄養剤に関しても介入することもあります。NSTとして関わるには各種病態やその治療に用いる薬剤、薬剤間の相互作用の知識も必要となりますので、多岐に渡る知識を身に付ける必要がありますが、患者様の栄養状態の改善に寄与できる点からはとてもやりがいのある仕事であると思います。 がん患者様(特に消化器がん)の多くはがん治療を行う時から栄養状態が不良な場合が多く、患者様、医療従事者が理想とするような状態に改善させることはなかなか難しいこともありますが、「薬剤師としてできることは何か?」を常に考えて今後もチーム医療の一員として携わっていきたいと思います。 |
救急認定薬剤師 | |
奥羽大学 平成24年卒業 | ![]() |
及川 瞬 | |
水戸医療センター | |
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